異形博物館【オカルト・ホラー】

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【海坊主】世界中に伝承を残す禿頭の巨人

【海坊主】世界中に伝承を残す禿頭の巨人

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世界各国の海に棲むと言われ、日本では妖怪に分類される。
大半は禿頭の巨人という姿で伝えられており、数メートルから数10メートルの巨躯を持つという。
日本の伝承に見られる海坊主は、船を転覆させたり、目撃した漁師たちに不漁を招いたりと、災いをもたらすものというイメージが強い。
美女に化けて男を溺死させる、座頭に化けて女を殺す.....といった話も存在する。
逆に、姿を見た者は長寿を得られるといった言い伝えもあり、地域によって様々な逸話が語り継がれている。
海坊主に遭遇したら、煙草の煙を吹きかけるか、いちばん大切な積み荷を海に投げ込めば難を逃れられるとされる。

【ヴクス・カキシュ】人間の支配を目論んだ巨人

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マヤ神話に現れる巨人で、エメラルドの輝く歯と金銀の身体を持つ。
山々の向こうに横たわる地平線を眺めるほどの巨体であるが、ナンセの木になるサクランボの実を食べて生きていると言われる。
巨人ではなく、怪鳥の姿で描かれることもある。
神々が人間を創造しようとした時、支配者になろうと目論んだが、フンアフプー、イシュバランケの二人の神が仕組んだ罠により計画は頓挫。
奥歯の痛みに苦しんでいた巨人は、医者を装った神々に治療してやると騙され、彼の力の源である歯を全部抜かれてしまった。
強大な力を失った巨人は、支配者となる夢を叶えることなく命を落としてしまったという。

【アヤカシ】船乗りを驚かせた巨躯の海蛇

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妖怪を多く描いた江戸中期の絵師・鳥山石燕が、『今昔百鬼抬遺』にて紹介している巨大な海蛇。
「あやかし」の名がつけられているが、その特徴から、茨城県沖に出現した妖怪イクチのことだと思われる。
この海蛇は数キロメートルにも及ぶ長い身体を有しており、船に遭遇すると、上をまたいで通り過ぎることもあった。
だが通過するまでには数時間から数日もかかるうえ、蛇の全身からはべとべとした油が大量に染み出した。
船が沈没しないよう、船乗りたちは必死で油をかき出したという。
一説には海で死んだ者の霊であるとも。
この場合、人間に化けて人を海中に引きずり込むとも言われる。

【アーヴァンク】湖底に棲む怪物の意外な弱点

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イギリスはウェールズの伝承に現れる、湖底に棲む怪物。
名前の由来はアル・アーヴァンク湖であり、この湖に発生する渦の正体は怪物アーヴァンクであるとされた。
怪物は鋭い爪と牙を持っており、近くを通りがかった者を水中に引きずり込んで貪り喰らうという。
だが、美しい乙女には弱く、かどわかした乙女の膝枕で眠っているところを、村人と牡牛によって捕らえられたという逸話も存在する。
アーヴァンクの外見については諸説があり、巨大なビーバーのような姿をしているとも、ワニや悪魔のようであるとも言われる。
なお、ウェールズ語でアーヴァンクとは「ビーバー」のことを指す。

【アハ・イシュケ】美しい姿で通行人を背へ誘う

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https://youtube.com/@strange_museum

アイルランド語で「水の馬」と呼ばれる馬の怪物で、塩水湖や沼の中を主な棲家とする。

男性や鳥の姿をとることもあるが、伝承に見られる姿の多くは毛並みの美しい馬として描写されている。

この馬が岸辺で草を食んだり、水場で跳ねているところへ通りがかっても、決して馬の背中にまたがってはいけない。

背中の強力な粘着力をもって捕らえられ、そのまま水中に引きずり込まれてしまうからだ。

犠牲になった者はアハ・イシュケに貪り喰われ、翌日、肝臓だけが水辺に打ち上がるという。

そのため、肝臓以外が見つからない不気味な水死事件が起こると、この馬に喰われたのだろうと噂された。

【アダンダラ】男性を恐れさせるアフリカの怪猫

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https://youtube.com/@strange_museum

アフリカ中部で暮らすアザンデ族が、妖術を使うとして恐れている動物のひとつ。

明るい体色とらんらんと輝く目を持つ化け猫の姿を見た者は、命を落とすとされる。

伝承によれば、猫と交わった女性がアダンダラを産み落とすとされ、また王室の後宮で女性同士が関係を持つことを「アダンダラのようだ」と形容することもある。

一説には男性がアダンダラの姿を見ると死ぬとも言われているが、これは普通ではない女性の性行動に対して、「男が見てはいけないもの」だということを暗に警告しているようにも思える。

女性と猫を結びつけた伝承は数多く、アダンダラ同様、その大半が艶っぽい逸話を持つ。

【アスピドケロン】海上に浮かんでいる姿は島の如し

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異形博物館【オカルト・ホラー】250人目標 - YouTube

ギリシア語で「アスピドケローネ(蛇亀の意)」とも呼ばれる。

その名のとおり巨大な海電や魚のような姿をしており、海上を浮島のように移動する。硬い皮膚には海藻が張りつき、浮かんでいる姿は島にしか見えない。

体躯に似合わず主食は魚で、ロから甘い香りを放ち、寄ってきた魚たちを食べていると言われる。

この怪魚は『千夜一夜物語』『動物誌』など様々な物語に登場するが、中でも有名な逸話がある。

船乗りが怪物を島かと勘違いして上陸し、その背中で火を焚いたところ、怪物は目を覚まして海中へと潜ってしまった。

哀れな船乗り達は海に放り出され、多くの者が犠牲になったという。